こだわり・その4 ■■■　キャスト出演年齢考察　■■■ 　 　原作は少女たちの10代から始まるが、映画は『若草物語』『続若草物語』と一緒だから、後年のことを考えると、キャストに初々しさと深みの両方をという人選は、かなり大変なんだと思う。 　そこで、私のみたあの若草映画は、いったい何歳の人がやっていたのかと思い、http://us.imdb.com よりまとめ、その結果を（1）映画監督&CAST一覧表に掲載した。ただ、すべては分からず、不明なのは[?]とした。 　 ≪ジョーとメグ≫ 　大体、20代半ばの女優さんが多い中、49年版のジューン・アリスンだけが32歳。でも、そんな歳を感じさせず、ハツラツ、活き活きしていたので、彼女のジョーは好きなんだが。しかし、メグのジャネット・リーが22歳で10歳も若いとは! 　 ≪エーミーとベス≫ 　原作にあるエーミーのあどけなさを出すには、94年版のように二人のキャストに分けるのが賢明なのかもしれない。でも、それだとエーミーそのもののインパクトが薄れる気もする。 　49年版は、天才子役といわれたマーガレット・オブライエンを出したかったゆえ、ベスとエーミーの年齢を逆転させたといわれている。たしかに、マーガレット・オブライエンは、12歳だと年齢的にはエーミーにぴったりだと思うが、でもエーミーのキャラではないので、そうなってしまうのかな。 　あと、驚いたことに、この49年版に限らず、全体的にベスよりエーミーのほうが年上の人がやっていた。 　 ≪ママとパパ≫ 　40代のママが多いし、まあ妥当な人選だと思う。しかし、78年版のドロシー・マクガイアが62歳なんて。映像をみている分には、そんなに老けた感じはしなかった。 　パパはほとんど出番がないから、どれも今一つの印象しかないが、40代後半から50代の人なら、実齢的にもベストなところかな。 　 ≪ローリー≫ 　20代なら妥当だと思う。人気のあった94年版のクリスチャン・ベールは、20歳でやっていたのかと思うと、一番原作には近かったようで。ローリーは少女らの憧れとなるような人でないとね。映画のヒットに繋がるかどうかにかかっているように思われる。 　 ≪ローレンス氏(ローリーの祖父)≫ 　49年版のＣ・オーブリー・スミスは、ヒトコトですごい!　強面だけど本来は好々爺で、いい味だしているから好きだった。ベスがピアノの御礼を言いに行ったその絡みでは、二人の姿に涙となってしまうが、86歳なんて!!　日本で言えば、笠智衆みたいな存在だったのだろうか。 　本当の生まれが1863年とあるから、1868年の原作『若草物語』の出版年とさして変わらない。『若草物語』の時代の人が、時空を越えてやってきたように感じる。 　 ≪ベア先生≫ 　40歳代なら原作と同じだが、49年版のロッサノ・ブラッツィはこの映画では33歳。ホントに他のベア先生より、映画を見ていても、肌の張りがあったのは確かだ。雰囲気も小奇麗で、実年齢はわからないが、70年版のFrederick Jaegarとは対照的な風貌に思う。 　ふと、もし40代のロッサノ・ブラッツィがベア先生を演じていたら…。「旅情」や「南太平洋」のような雰囲気のベア先生となるのね。ムフフ。 　 ≪ジョン・ブルック≫ 　どれもイマイチ印象が薄いが、30前後の俳優さんなら、若くもないけれど、オジサンでもないというキャラが出せるのかも。それが、ちょうどローリーの絡みで大切なのかもしれない。 　 ≪マーチ伯母さま≫ 　いやはや、これも70代の方々で恐れいりました、である。ただ33年版のエドナ・メイ・オリヴァーだけが50歳で、ちょっと若すぎやしないか。映像をみると、白髪だが顔はシワシワでもなく、姿もカクシャクとしているので、「老け役」の人なんだろう。   ★最後に思うこと★ 　1933年版は、当然のことではあるが、キャストの半数の方が1800年代生まれ。2004年の現在に彼らの姿を見られることに、「世紀を越えて」という言葉が相応しく思えてくる。 　それに2003年6月に、この33年版ジョーのキャサリーン・ヘプバーンが亡くなったばかり。　96歳だったそうだが、33年版では26歳、55年の「旅情」では48歳、67年の「招かれざる客」では60歳と、映画を通して他人様の人生の流れを垣間見たような気がする。 　 （2004.1.3） 映画TOP 　 HOME